こんにちは、たくゆきじです。
今回は
循環器内科以外の医師がBrugada症候群が疑われた患者さんを紹介する時に必要な情報
に関して記事にします。
突然ですが、みなさんが何気なく心電図検査を行った時に
Brugada症候群疑い
と出たら困りませんか?
そんなときは循環器内科に紹介すると思いますが、
という方が大半かと思います。
そのため、今回の記事では
Brugada症候群疑いの患者さんを紹介する時に必要な情報と紹介状のテンプレート
をまとめてみました。
ぜひご覧ください。
Brugada症候群といえば
心電図所見が特徴的なのはご存知かと思います。
右側胸部誘導(V1-V3)で
coved型ST上昇
saddleback型ST上昇
という特徴的な心電図所見を示します。
実はこの2つの心電図は実臨床では重要度が異なります。
国家試験では勉強しないと思いますが、実際にこの2つでより重要なのは
coved型ST上昇
です。
coved型ST上昇のことをtype1 Brugada型心電図といいます。
遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂版)においてBrugada症候群の診断のためには必須所見として以下のいずれかを満たす必要があります。
①自然発生のtype1 Brugada心電図
②発熱により誘発されたtype1 Brugada心電図
③薬物負荷試験でtype1に移行したtype2もしくはtype3 Brugada心電図
要約すると
今のガイドラインだとBrugada症候群と診断するためにはcoved型ST上昇を示していなければならない。
ということです。
ではsaddleback型のST上昇ではどうなのかというと、
必要に応じて薬物負荷試験を行い、coved型のST上昇に移行するか確かめることになります。
その時の薬剤はピルシカイニドを使用することが多いです。
以上でおわかりのように紹介される循環器内科としては、
coved型なのかsaddleback型なのか
で対応がだいぶ変わりますので、紹介状にはcoved型かsaddleback型かを記載していただけると助かります。
なお、type1の心電図以外でも時間経過とともにtype1の心電図が出現する可能性もあるので定期的な経過観察は必要です。
突然死の家族歴と失神歴
Brugada症候群の突然死予防に有効であることを示されている治療はICD植え込みですが、その適応の評価のために確認する項目は以下の項目です。
●家族歴
●失神歴
●夜間の苦悶様呼吸
この3点です。
この中で家族歴は
●突然死の有無
●血縁関係の家族でBrugada症候群の確定診断がされているか
に関して確認していただけるとありがたいです。
また、夜間の苦悶様呼吸は本人だけでは確認できないので、紹介するときは同居家族も一緒に受診するよう手配していただけるとありがたいです。
詳しくは省略しますが、これらの項目の有無がICD植え込み適応の評価に関係してきます。
他にも電気生理学的検査(EPS)でも評価を行いますが、循環器内科以外の医師は考慮する必要はありません。
実際の紹介状の記載例
今までの項目を踏まえて、Brugada症候群の患者さんを紹介するときのテンプレートを作ってみました。
循環器内科 外来担当先生 侍史
#1.Brugada症候群疑い
#2.(その他の既往歴)
平素より大変お世話になっております。
▼▼様は健診の心電図で#1を指摘されました。
心電図の波形はcoved型/saddleback型でした。
問診上失神の既往は(ありませんでした。/認めます。)
また、夜間の苦悶様呼吸は(認めないようです。/認めます。)
リスク評価も含め貴科的にご高診、ご加療いただけましたら幸いです。
お忙しい中大変恐縮ではございますがよろしくお願いいたします。
【内服薬】
【家族歴】
Brugada症候群の家族歴の有無の記載
突然死の家族歴の有無の記載
内科 たくゆきじ 拝
このような情報を書いていただけると我々としてもありがたいです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
この記事がみなさんのお役に立てたら嬉しいです。
<<参考文献>>
遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂版) / 日本循環器学会