こんにちは、たくゆきじ(@takuyukiji)です。
今回の記事では
を紹介します。
医師賠償責任保険は色々な保険会社が扱っており、どの保険を選べばいいかわからなくなりますよね。
私も先日まで研修医時代に病院から勧められた保険に加入していましたが、
たくゆきじ
と気になったので医師賠償責任保険についてかなり詳しく調べてみました。
その結果民間医局の2億円補償プランが自分に最も合っていると判断できたため、民間医局の医師賠償責任保険
今回乗り換える過程で医師賠償責任保険に関してはかなり知識がついたので、この記事で医師賠償責任保険の選び方を紹介します。
医師賠償責任保険を選ぶ上では以下のプロセスで決めるのがおすすめです。
①自分に適した補償額を決める。
②補償額を決めたら保険料の一番安い会社の保険に加入する。
私の場合は自分に適した補償額は2億円でありその中で保険料が最も安いのは民間医局でした。そのため民間医局の2億円補償プランに乗り換えることにしたというわけです。
今回はこの記事を読んでくださっている先生のために以下の内容を解説します。
過去の判例から医師賠償責任保険の適切な補償額を考える。
補償額ごとに各社の医師賠償責任保険の保険料を比較する。
また最後によくある質問として以下の質問にも回答してみました。
①医師賠償責任保険には研修医は加入するべきですか?
②医師賠償責任保険は非常勤、アルバイトの場合は適用されますか?
③医師賠償責任保険の免責金額ってなんですか?
とお悩みの先生にぜひ読んでいただきたい内容になっておりますのでぜひご覧ください。
また本記事では一番おすすめする医師賠償責任保険もあわせて紹介していますのであわせてどうぞ。
医師賠償責任保険のおすすめの補償額は?
医師賠償責任保険を決める上で大事なポイントは
ということです。
現在の医師賠償責任保険は4つの補償プランがあります。
ただいきなりこの中から一つ選べと言われても困りますよね。
それぞれの状況が異なるため絶対的な答えはありませんが、補償額を決める大事な判断材料があります。
それは過去の医療訴訟の損害賠償額です。
過去の医療訴訟の損害賠償額を自分の状況に照らし合わせることで、備えなければならない補償額を決めることができますから。
過去の医療訴訟の損害賠償額
過去の損害賠償額を参照する上で「医療安全推進社ネットワーク」というサイトの医療判決紹介というコーナーが役に立ちました。
このサイトには医療事故に至った病歴も詳しく載っており、一度読んでみることをおすすめします。
誰にでもあるような小さな判断ミスでも訴訟が起こることがおわかりいただけるかと思います。
いくつか判例を紹介します。
帝王切開後、患者がMRSAの院内感染による敗血症から心停止に陥り、低酸素脳症による重度の後遺症が残ったことについて、大学病院に抗MRSA抗生剤の投与に関する注意義務違反を認めた高裁判決
裁判所の認容額
1億148万8783円+退院後患者死亡まで一日あたり2万円
裁判所の認容額
1憶8181万6531円
私が専門の循環器領域でも以下のような判決がありました。
裁判所の認容額
7375万0947円
誰でも関わることになる救急外来の判例では以下の判例が印象的でした。
裁判所の認容額
4929万9000円
このように高額の損害賠償額を請求されるケースがあるわけです。
ただもちろんそこまで高額でないケースもあるため、ざっと過去の判例に目を通してみて最新80件程度の損害賠償額をまとめてみたところ以下の結果となりました。
5000万円以下の賠償額が75%程度
5000万円~1億円の賠償額が20%程度
1億円~2億円の賠償額が5%程度
2億円を超える賠償額は確認できなかった
こういう過去の判例は補償額を決定する材料になります。
※今回紹介した内容は医療判決紹介 医療関連訴訟の判例・裁判例を紹介しますより改変して引用しました。
過去の賠償額を考えると保険プランは1億円以上が望ましい
先程紹介した過去の損害賠償額の結果を見て
と思われる先生もいらっしゃるでしょう。
と思われる先生もいらっしゃるかもしれません。
おすすめの補償額は専門科など様々な要素があり一概に言い切ることはできません。
ただ過去の判例を考慮すると私が確認した範囲で95%程度の賠償額がカバーできている1億円以上の保険プランを選ぶのが望ましいです。
5000万円では心もとないですし、確認した範囲では2億円を超える損害賠償額の判例も見られませんでした。
なお私は2億円の保険プランに加入しています。
万が一訴訟が起こっても金銭的な不安はないという安心感のある保険プランを選んでおかなければ、いざというときにものすごい精神的なストレスを抱えてしまうと考えたからです。
過去の損害賠償額を考慮すると1億円以上の保証プランが望ましい
2億円のプランに入っておけば基本的に安心
では補償額を決めた上で保険料ごとに各保険会社を比較していきたいと思います。
勤務医の医師賠償責任保険の比較
補償額を決めたらあとはどの保険に入るか選ぶだけです。
保険内容は大きく変わらないため、保険料を比較してどれに加入するか選ぶとよいでしょう。
保険料を考慮して医師賠償責任保険を選ぶ場合、団体割引が適用されるこの3つの中から選ぶのがおすすめです。
民間医局
日本医師会
学会の保険
他にも団体割引が効く保険はありますが、この3つから選べばまず間違いないのでこの3つを比較していきます。
5000万円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | |
民間医局 | 32310円 | 41660円 | 47710円 | 53360円 |
日本医師会 |
(研修医) 15000円 (30歳以下) 39000円 (30歳超え) 68000円 |
学会の保険 | 28800円 | 40660円 | 51570円 | 62480円 |
なお医師賠償責任保険サービスを提供している学会は以下の11学会です。
日本脳神経外科学会
日本整形外科学会
日本眼科医会
日本胸部外科学会
日本神経学会
日本糖尿病学会
日本消化器内視鏡学会
日本外科学会
日本循環器学会
日本消化器病学会
日本産科婦人科学会
・・・株式会社カイトー 医師賠償責任保険より引用
基本的にどの学会もほぼ同じ保険料です。
ではさっそく保険料ごとにおすすめの保険プランをみていきましょう。
5000万円の補償プランの場合
5000万円の補償プランは民間医局と学会の保険で提供されています。
5000万円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | |
民間医局 | 32310円 | 41660円 | 47710円 | 53360円 |
日本医師会 |
(研修医) 15000円 (30歳以下) 39000円 (30歳超え) 68000円 |
学会の保険 | 28800円 | 40660円 | 51570円 | 62480円 |
ご覧の通り5000万円の補償プランでは学会の保険のほうが安いです。
そのためこのプランを選択する場合は、学会の医師賠償責任保険がおすすめです。
ただ5000万円プランはそこまで一般的ではないためなのか、先述した11学会全てで用意されているわけではなく、以下の6学会でのみ提供されています。
日本脳神経外科学会
日本整形外科学会
日本胸部外科学会
日本神経学会
日本糖尿病学会
日本産科婦人科学会
そのためこれらの学会に所属していない場合には民間医局の医師賠償責任保険
ただ1億円を超える賠償請求がちらほら確認できますので、5000万円の補償プランを選択すること自体ちょっとリスキーな選択に感じてしまいますね。
1億円の補償プランの場合
1億円の補償プランの場合は先生の状況に応じて異なります。
5000万円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | |
民間医局 | 32310円 | 41660円 | 47710円 | 53360円 |
日本医師会 |
(研修医) 15000円 (30歳以下) 39000円 (30歳超え) 68000円 |
学会の保険 | 28800円 | 40660円 | 51570円 | 62480円 |
研修医・30歳以下の医師・30歳以上の医師でそれぞれおすすめのプランが変わります。
というのも日本医師会の保険の場合、年齢などで保険料が変動するからです。
研修医の先生の場合
研修医の先生の場合の保険料は以下の通りです。
5000万円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | |
民間医局 | 32310円 | 41660円 | 47710円 | 53360円 |
日本医師会 |
(研修医) 15000円 (30歳以下) 39000円 (30歳超え) 68000円 |
学会の保険 | 28800円 | 40660円 | 51570円 | 62480円 |
このように日本医師会の保険が突出して安いです。
そのため研修医の期間は日本医師会の保険に加入するというのは良い選択肢だと思います。
ただ研修医が修了した後は他の保険と大差ありません。
研修医が終わったら他の保険への乗り換えるのも良いですが、その場合少し煩雑な事務手続きが必要であることは頭に入れておくのが良いでしょう。
30歳以下の先生(研修医除く)
研修医以外の30歳以下の先生の場合は以下の通りです。
5000万円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | |
民間医局 | 32310円 | 41660円 | 47710円 | 53360円 |
日本医師会 |
(研修医) 15000円 (30歳以下) 39000円 (30歳超え) 68000円 |
学会の保険 | 28800円 | 40660円 | 51570円 | 62480円 |
30歳以下の医師の場合保険料は各社でそこまで差は大きくありません。
日本医師会の保険の場合は30歳を超えると一気に保険料が上がるため、乗り換えたほうが明らかにお得になります。
ただ30歳頃はどの科に属していても忙しいので、将来的に乗り換える手間を考えると、研修医が明けてから加入する場合は民間医局か学会の保険がおすすめです。
30歳を超えた先生(研修医除く)
研修医を除いた30歳を超えた先生の場合は以下の通りです。
5000万円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | |
民間医局 | 32310円 | 41660円 | 47710円 | 53360円 |
日本医師会 |
(研修医) 15000円 (30歳以下) 39000円 (30歳超え) 68000円 |
学会の保険 | 28800円 | 40660円 | 51570円 | 62480円 |
こうなると日本医師会の保険は完全に選択肢からなくなります。
この場合も民間医局と学会の保険の2択になるかと思います。
選ぶ際の基準は該当する学会に加入しているかどうかがポイントです。
というのも先述したとおり学会の保険は全ての学会が提供しているわけではなく、以下の11学会しか提供していないからです。
日本脳神経外科学会
日本整形外科学会
日本眼科医会
日本胸部外科学会
日本神経学会
日本糖尿病学会
日本消化器内視鏡学会
日本外科学会
日本循環器学会
日本消化器病学会
日本産科婦人科学会
・・・株式会社カイトー 医師賠償責任保険より引用
この学会に所属しているならば学会の保険のほうが保険料は安く済みます。
これらの学会に所属していない場合は民間医局の医師賠償責任保険に加入することになるでしょう。
具体的には将来何科にするか決まっていない研修医や専攻医の先生が該当すると思います。
また将来的に補償プランを変更する可能性がある場合も民間医局がおすすめです。
というのも民間医局だと4つの異なる補償プランを提供しており、プランの変更が簡単だからです。
日本医師会の保険は年齢や立場で保険料が異なる。
日本医師会の場合研修医の時は一番安いが、後々保険料が高くなるので乗り換える必要が出てくる。
保険サービスを提供している学会に所属しているならば学会の保険がおすすめ。
当該学会に所属していない、もしくは後々保険プラン(補償額)を切り替える可能性があるならば民間医局がおすすめ。
これらのポイントを加味して保険プランを選んでいただければと思います。
2億円の補償プランの場合
2億円の補償プランを選択する場合はわかりやすいです。
各社の比較をご覧ください。
5000万円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | |
民間医局 | 32310円 | 41660円 | 47710円 | 53360円 |
日本医師会 |
(研修医) 15000円 (30歳以下) 39000円 (30歳超え) 68000円 |
学会の保険 | 28800円 | 40660円 | 51570円 | 62480円 |
2億円の補償プランを提供しているのは民間医局と学会の保険ですが、民間医局の医師賠償責任保険のほうが明らかに安いです。
そのため2億円プランに加入するなら民間医局の医師賠償責任保険
何かあった時に必要な補償額もカバーされており最もおすすめできる保険プランだと考えます。
3億円の補償プランの場合
3億円の補償プランを選択する場合もシンプルです。
ご覧の通り3億円の補償プランを提供しているのは民間医局
5000万円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | |
民間医局 | 32310円 | 41660円 | 47710円 | 53360円 |
日本医師会 |
(研修医) 15000円 (30歳以下) 39000円 (30歳超え) 68000円 |
学会の保険 | 28800円 | 40660円 | 51570円 | 62480円 |
3億円の補償プランでも民間医局のほうが明らかに安いですので、民間医局の医師賠償責任保険に加入しておきましょう。
ただ過去の賠償請求を確認する限りでは2億円を超えるものはなかったため、かなり慎重な先生におすすめする保険かとは思います。
もちろん将来的に「加入しておいてよかった」と思う可能性もあるので一概には言えませんが。
少し長くなりましたので補償額ごとにおすすめする保険プランをまとめます。
5000万円のプランを選ぶ場合は当該学会に属している場合は学会の保険がおすすめ。
1億円のプランを選ぶ場合は状況、年齢でおすすめの保険は異なる。
2億円、3億円のプランを選ぶ場合は民間医局の医師賠償責任保険がおすすめ。
1番おすすめする医師賠償責任保険
と考える先生もいらっしゃるかと思いますので私の意見を述べます。
私は民間医局
2億円プランならば仮に損害賠償を命じられたとしても保険でカバーできますし、競合する保険より保険料が安いからです。
どの保険がいいか迷われている先生は加入をご検討ください。
なお民間医局の医師賠償責任保険に関するもっと詳しい解説はこちらの記事をどうぞ。

医師賠償責任保険に関するよくある質問
最後によくある質問をまとめていきます。
質問をいただくたびに随時更新していく予定です。
よくいただく質問は以下のとおりです。
医師賠償責任保険には研修医は加入するべきですか?
医師賠償責任保険は非常勤、アルバイトの場合は適用されますか?
医師賠償責任保険の免責金額ってなんですか?
ではそれぞれ解説していきます。
医師賠償責任保険には研修医は加入するべきですか?
研修医は絶対に医師賠償責任保険に入るべきです。
研修医でも医師賠償責任保険には絶対に加入しておくべきです。
というのも研修医はまだ医師としての業務に不慣れなことが多くミスが出やすいからです。
経験を積んだ医師からみると
と思うようなミスも経験が浅いとどうしても起こりがちです。
ミスは起こさないのが重要ですが、何かあった時に自分の身は自分で守るつもりで医師賠償責任保険には絶対に入っておきましょう。
医師賠償責任保険は非常勤、アルバイトには適用されますか?
医師賠償責任保険は非常勤での事故でも適用されます。
医師賠償責任保険は非常勤やアルバイト先での事故でも適用されるところが多いです。
加入前に自分でも一度確認してみて下さいね。
なお美容を目的とする医療行為は補償の対象から除くとされておりますので、美容クリニックでバイトをされる場合はご注意ください。
医師賠償責任保険の免責金額ってなんですか?
免責金額とは損害賠償額のうち自腹で払わなくてはならない金額のことです。
例えば損害賠償額が1000万円で免責金額が100万円の場合は、保険会社から900万円支払われ残りの100万円は自腹で支払う必要があるということです。
この免責金額は保険ごとに異なります。
例えば日本医師会の場合はこの免責金額が100万円に設定されています。
民間医局や学会の保険は免責金額が0円です。
この免責金額をどう捉えるかは個人の価値観次第ですが、私ならば保険で全額カバーしてほしいので、免責金額は0円の保険のほうがおすすめだと思います。
おすすめの医師賠償責任保険|まとめ
以上勤務医の医師賠償責任保険についてまとめました。
繰り返しになりますがポイントは以下のとおりです。
5000万円のプランを選ぶ場合は当該学会に属している場合は学会の保険がおすすめ。
1億円のプランを選ぶ場合は状況、年齢でおすすめの保険は異なる。
2億円、3億円のプランを選ぶ場合は民間医局の医師賠償責任保険がおすすめ。
先程紹介したとおり医療訴訟は誰にでもあるような小さな判断ミスでも十分起こりえます。
当直で問題ないと判断して帰宅させた患者さんが急変して運び込まれてくる可能性もゼロではありません。
そして医療訴訟に発展した後にあわてて保険に加入しても残念ながら補償の対象にはなりません。
医師賠償責任保険に加入せずに勤務医として働くのは無保険で自動車を運転するよりリスクの高い状態だと考えます。
我々はいつ訴訟に巻き込まれるかわかりませんので、もしまだ未加入なのであれば、万が一の事態に備えて今すぐに医師賠償責任保険に加入しておきましょう。
私が一番おすすめする民間医局の医師賠償責任保険のさらに詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。

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