カルテテンプレート

【テンプレート】脂質異常症の患者さんを紹介する時に必要な情報と紹介状

脂質異常症の患者の紹介状

こんにちは、たくゆきじです。
 
今回の記事では
 
「脂質異常症」の患者さんを治療する時に必要な情報と紹介状のテンプレート
 
をこの記事では紹介します。
 
脂質異常症とはしましたが、今回の記事は
 
高LDLコレステロール血症
 
の患者さんを対象に書いています。
 
脂質異常症って何科に紹介すればいいかわからない方もいると思いますし、内科の医師であれば紹介せずに自分で見ている医師が多いと思います。
 
私は循環器内科なので狭心症や心筋梗塞になった患者さんの治療をする中で脂質異常症の患者さんも担当する機会は多いですが、
 
専門ですか?
 
と聞かれるとなんとも言えません。
 
また、私はまだ若輩者です。
 
勉強して日常診療に臨んでいますが、他の医師の治療方針に口を出せるほどの経験があるかというとそうではありません。
 
そのため今回の記事では
 
◯脂質異常症の勉強してためになった内容、気付いてよかった内容
 
◯内科ではない医師が脂質異常症を指摘された患者さんを内科に紹介する時のテンプレート
 
について書きました。
 
自分の治療方針や紹介状に関して押し付けるつもりはなく
 
へぇ~そうなんだ、読んでよかった
 
くらいの気付きを提供できたら嬉しいです。
 
ではご覧ください。
 
なお現在私は動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版を参考に治療しています。
 
ことの発端の記事はこちら>>> 【テンプレート】各診療科に紹介する際の紹介状のテンプレートを作ることにした。

採血の時間について

脂質異常症の診断基準は空腹時採血の結果となっていますが、具体的に何時間空けたら空腹時採血というのか最初はわかりませんでした。
 
実は10時間以上の絶食を「空腹時採血」と定義します。
 
水やお茶などカロリーのない水分摂取は可能です。
 
今後患者さんに聞かれたら自信をもって答えましょう。

LDLコレステロールの計算方法は2つある

採血結果を見てみると、LDLコレステロールの結果が2つ書かれているときがあります。
 
LDL(直接)
LDL(F式)
 
という感じです。
 
数値が結構違うことがあり
 
どっちを採用すればいいの?
 
と思うことがありました。
 
実はLDLコレステロールの測定方法は2つあって、
 
直接法
Friedewald式(F式)
 
の2つがあります。
 
直接法は採血結果を直接測定する方法なので簡単にイメージできると思います。
 
ではFriedewald式ってなんでしょうか?
 
Friedewald式でのLDLコレステロール値は
 

LDL=TC-HDL-TG/5
TC:(総コレステロール)
TG:中性脂肪

という式で計算できます。
 
どちらの採血を採用するかというと
 

空腹時採血はFriedewald式でのLDL値を採用
 
食後採血やTGが400を超えているときにはLDL直接法を採用
(もしくはnon-HDLコレステロール)

とされています。
 
Friedewald式にはTG値が含まれているので
 
TG値が異常値でLDLが左右されやすい状況のときにはLDL直接法を使いましょう
 
ということのようですね。

リスク評価として吹田スコアがある

吹田スコアという評価項目があります。
 
ざっくりいうと
 
冠動脈疾患のリスクを他の項目(喫煙など)も総合的に評価して、LDLコレステロールの目標値を決めましょう。
 
という内容です。
 
患者さん向けの記事にも書きましたが具体的な患者像を表現すると、
 

①何も病気のないタバコを吸わない42歳女性のLDLコレステロール値が150mg/dL
 
②1ヶ月前に心筋梗塞で入院したばかりでタバコを1日50本吸っていた65歳男性のLDLコレステロール値が150md/dL

これらの患者さんではLDLコレステロールの目指す値が違うということです。
 
具体的な評価項目は以下の内容になります。
 

既往歴(特に冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患)
 
年齢、性別
 
喫煙歴
 
血圧(140/80mmHgなど具体的な数字が必要です。)
 
HDLコレステロールの値
 
LDLコレステロールの値
 
冠動脈疾患の家族歴(男性:55歳未満、女性65歳未満)

 
この他にも色々評価項目がありますので、吹田スコアが全てというわけではないと思いますが、一つの目安になると思います。
 
ちなみにいちいち計算するのがめんどくさい方には日本動脈硬化学会が出しているアプリがあります。
 
こちらからいけますので、もしも試してみたい方がいればどうぞ!
 
冠動脈疾患発症予測・脂質管理目標値設定アプリのご案内

実際の紹介状のテンプレート

内科の医師に脂質異常症について紹介するとしたら、主に吹田スコアの評価項目を書いてあると親切だと思います。
 
文面にしてみるとこんな感じでしょうか。
 

内科 外来担当先生 侍史
 
#1.高LDLコレステロール血症
#2.(既往歴を記載)
 
【内服薬】
・・・
 
【喫煙歴】
 
【家族歴】
冠動脈疾患の家族歴はあるようです。/ないようです。
 
平素より大変お世話になっております。
 
△△様は健康診断で#1が指摘された患者様です。
 
現在の内服薬に関しては上記記載をご参照ください。
 
また、健診で指摘された血圧は140/80です。
 
具体的な採血結果も添付いたします。(なお採血結果は空腹時採血/食後採血です。)
 
お忙しい中大変恐縮ではございますがご加療のほどよろしくお願いいたします。

既往歴には吹田スコアの評価項目(冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患)に関しては書いていただいたほうが良いと思います。

スタチンは妊婦に禁忌である

高LDLコレステロール血症の患者さんにスタチンを使うのはいいのですが、
 
妊婦、授乳婦へのスタチンの使用は禁忌とされています。
 
胎児の催奇形性リスク、乳汁以降の検討が不十分とされているためです。
 
ハイリスクな患者さん(例えば家族性高コレステロール血症、冠動脈疾患を発症したことのある二次予防が必要な患者など)に対しては薬物治療を考慮しますが、基本的に妊娠可能な女性に対しては生活習慣の改善でLDLコレステロールの改善を目指します。
 
そのため妊娠可能な女性にスタチンを処方する場合はよく検討したほうがよいと思います。
 
ちなみに妊娠可能な女性にこのような説明なくスタチンを処方し、その後妊娠がわかったとしたら私なら血の気が引くと思います。
 
これは知っておいたほうがよい知識だと思います。

まとめ

以上自分が脂質異常症の勉強をしてみて、これは必要だな、と思った知識をまとめてみました。
 
読者のみなさんが一つでも気付きが得られたのならば嬉しいです。
 
繰り返しますがこれが完璧とは思っていないので、改善点などございましたらいつでもtwitterなどでコメントを頂けましたら幸いです。
 
<<参考文献>>
動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2017年版