医師向け

高齢者の治療方針を話すタイミングについて。

高齢者の外来

こんにちは、たくゆきじです。
 
今回の記事では
 
高齢の患者さんの治療方針を話すタイミング
 
について記事にします。
 
病院ごとに受診する患者さんの層が違います。 
 
①救急指定病院で具合の悪い患者さんが次々に搬送されてくる病院。
 
②小児科がメインの病院で子どもの患者さんがたくさんいる病院。
 
③高齢で意思の疎通も難しく家に帰れない患者さんが多い病院。
 
など様々です。
 
現在私はこの中では③に属する病院に勤務しています。
 
高齢の患者さんが多く、意思の疎通も難しい患者さんもちらほらいます。
 
もともとは①の病院に勤務していましたが、転勤となり今もこの病院で働いています。
 
こういう病院では外来の患者さんも高齢の患者さんが多いです。
 
①の病院で働いていた時は安定した高齢の患者さんは、かかりつけ医に紹介していたため外来で主治医として治療し続ける頻度はそう高くありませんでした。
 
しかし今は高齢の患者さんをある程度継続的に担当しています。
 
この病院に来てから悩んだことは、「高齢者の治療をどこまでするかを話すタイミング」でした。
 
今の自分がどうしているかについて書いていきますのでぜひご覧ください。

高齢者の定義

日本老年医学会によると高齢者の定義は以下のようになっています。
 
65~74 歳 准高齢者 准高齢期
75~89 歳 高齢者 高齢期
90 歳~ 超高齢者 超高齢期

 
経験上80歳を超えると耳が遠くなって意思の疎通を取りづらかったり、話をしても噛み合わなかったりと高齢者だなぁと思うことが増えます。

繰り返される返答

私は具合の悪い高齢の方を入院させるときには必ず
 
今回の入院中に命を落とす可能性があること
 
を説明します。
 
関連記事>>>高齢の患者さんが心不全や肺炎で入院する時に話さなければならない4つのこと。
 
誰であっても急変する可能性は0ではありません。
 
特に高齢の患者さんの場合は他の患者さんより具合が悪くなりやすく、急変時に心臓マッサージなどの蘇生処置まで行うかどうかも必ず相談します。
 
そのときにご家族の方からよく言われることは
 

家族
家族
そんなこと考えたことなかった。

 
という返答です。
 
特に今まで患者さんが入院したことがない場合は、経験上ほぼ間違いなくこの返事が来ます。
 
医師から話をされて初めて患者さんが高齢者であり、人生の最終段階にいきつつあることを認識するのです。
 
何度も何度も自問自答が必要なことであり、その答えを短い期間で出すことは容易ではありません。
 
意思の疎通が取れない患者さんの場合は家族が意思決定をする必要がありますが、
 

家族
家族
自分だけではすぐ返事が出せない。

 
とおっしゃるご家族の方が多いです。
 
それももっともなことだと思います。
 
だれでも自分の親の治療方針、ましてや蘇生処置の有無などは一朝一夕で決めれるものではありません。
 
こうしたやり取りを何度も繰り返すうちに
 

たくゆきじ
たくゆきじ
急変時の対応などの話をするタイミングはいつが一番いいのだろう?

 
と考えるようになりました。

最近の外来

悩んだ私はまだ患者さんが元気なうちに外来で話をしようと思うようになりました。
 
対象の年齢は主に80歳以上の患者さんです。
 
病状が安定している患者さんにも
 

たくゆきじ
たくゆきじ
80歳も過ぎたし、具合が悪くなったときどこまで治療するか考えたほうがいいですよ。

 
と伝えています。
 
正直伝える前は患者さんやご家族がどんな反応をするかわからないので怖かったです。
 

患者さん
患者さん
そんなこと聞きたくない!

 
とか言われるのではないかと思っていました。
 
しかし実際はそんなことはなく、病状と年齢についてきちんと説明すると最後に患者さんから
 

患者さん
患者さん
先生、きちんと話してくれてありがとう。

 
感謝されることが多いです。
 
一定数受け入れられない患者さんやご家族もいますが、経験では受け入れてくださる方のほうが多いです。
 
そして
 

たくゆきじ
たくゆきじ
元気なときに自分の治療方針を決めておきたい患者さんは多いんだなぁ。

 
という当たり前の事実に気付きました。
 
そして家族の方からも
 

ご家族
ご家族
考える機会を頂いてありがとうございます。

 
と言っていただけることが多いです。
 
こういう話をあらかじめ外来でしておくと、いざ入院した時に急変時の対応について準備できると思っています。

重要な点

外来で急変時の対応や治療方針について相談するときは
 
患者さんだけではなくご家族の方も同席していただいて話をする
 
のが鉄則です。
 
急変時は患者さんは意思の疎通を取れないことがあります。
 
その場合いくら主治医と患者さんの間で治療方針を相談していても、家族としては寝耳に水の話なので治療方針に食い違いが起こるときがあります。
 
そのため、外来で急変時の対応について相談するときには必ず家族の方も同席してもらうようにしましょう。

まとめ

元気なうちに治療方針について話をすること、今後の人生について意識してもらうことは重要だと思います。
 
今後も患者さんに必要十分な情報を提供し、今後の人生について考えてもらえるような外来を目指していきたいと思います。