医療・病気

いびきと眠気がひどく睡眠時無呼吸症候群の検査を受けることになった(前編)

こんにちは、たくゆきじです。
 
今回は
 
睡眠時無呼吸症候群
 
についての記事になります。
 
これを読んでいるみなさんも、睡眠時無呼吸症候群という名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?
 
睡眠時無呼吸症候群は高血圧や冠動脈疾患などを合併することが多く、私も患者さんを診療させていただく頻度は高いです。
 
しかし、日常的に診療している中で患者さんは
 
「いびきをかく病気でしょ。」
 
くらいにしか思っていない印象を受けます。
 
正しいといえば正しいのですが、睡眠時無呼吸症候群は治療すべき病気であることを今回の記事ではわかりやすく解説します。
 
ちなみに今回の記事には続編があります。
 
今回の記事では医師として説明しますが、続編の記事では私は患者として登場します。
 
実は私自身も睡眠時無呼吸症候群を疑われ、先日検査を行ったのです。
 
せっかくの機会なので、続編では実際の検査の機械や取り付けた後の写真も出しながら紹介します。
 
まずは前編の解説編からご覧下さい。
 

注意点

睡眠時無呼吸症候群閉塞性中枢性に分類されますが、今回は98%を占める閉塞性睡眠時無呼吸症候群を説明します。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群を一言で言うと、
 
眠っている間に呼吸が止まる病気
 
のことです。
 
そのまんまです。
 
しかし、「眠っている間に呼吸が止まる」だけだとあいまいなので、きちんとした基準があります。
 
10秒以上続く無呼吸、低呼吸(浅い呼吸)が1時間あたり5回以上で症状もある場合、睡眠時無呼吸症候群といいます。
 
睡眠時無呼吸症候群の症状に関しては後述します。

AHIとは何か?

睡眠時無呼吸症候群をネットで調べると、AHIという言葉がときおり出てきます。
 
AHIは日本語に訳すと、無呼吸低呼吸指数となります。
 
漢字ばかりで少し難しく感じますが、実はすごく簡単です。
 
AHI睡眠時無呼吸症候群がどのくらい重症か数字にしたものです。
 
1時間あたり5回以上無呼吸や低呼吸があると睡眠時無呼吸症候群と書きましたが、10回の人50回の人だともちろん重症度が違います。
 
これを数字にしたものがAHIです。
 
計算式もものすごく簡単で
 
(無呼吸+低呼吸の回数)÷睡眠時間
 
となります。
 
例えば10時間寝た時に、無呼吸の回数が100回低呼吸の回数が150回の場合
 
AHI = (100+150)÷10
 
となります。
 
この場合AHIは25となります。
 
このAHI睡眠時無呼吸症候群の重症度を表します。
 

軽症:5~15
 
中等症:15~30
 
重症:30以上

 
AHIが25の場合中等症です。

どんな人が睡眠中に無呼吸になりやすいのか?

無呼吸になる原因は空気の通り道である気道が狭いことです。
 
そのため気道を狭くしてしまうものは基本的にリスク因子となります。
 
これらのリスク因子には生活習慣の改善でどうにかなるものと、生活習慣の改善ではどうにもならないものがあります。
 
それぞれは分けて考えたほうが良いでしょう。

生活習慣の改善でどうにかなるもの

生活習慣の改善でどうにかなるものは下にお示ししました。
 
肥満
首が太い
あおむけで寝る
喫煙
飲酒
 
です。
 
この中で最大の危険因子は肥満です。
 
睡眠時無呼吸症候群の患者さん60-70%が肥満の方であり、重症の方ほど肥満の割合が増えます。
 
気道の周囲に脂肪が沈着し、気道を狭くしてしまうからです。
 
肥満の延長線上にありますが、首回りが太い方も要注意です。
 
男性は首回りが43cm以上、女性の場合は38cm以上の場合にリスクが増します。
 
またあおむけで寝ることで舌根が重力で落ちてしまい、無呼吸の原因になるときがあります。
 
その場合は横向きに寝ると無呼吸が改善する場合があります。
 
喫煙飲酒リスク因子です。

生活習慣の改善でどうにもならないもの

生活習慣の改善でどうにもならないものも下にお示ししました。
 
男性
中年
顎が小さい
巨舌
扁桃肥大
 
といったものがリスクとなります。
 
これらに関しては自分ではどうにもできません。
 
手術などを考慮するときもありますが、まず生活習慣の改善でどうにかなるリスクを減らすことが重要です。

睡眠中に呼吸が止まるとよくないのか?

全然よくないです。
 
その理由は大きく2つです。
 

①睡眠時無呼吸症候群の症状で困る。
 
②生活習慣病のリスクが高まり、死亡率も高くなる。

それぞれについて解説していきます。

睡眠時無呼吸症候群の症状で困る。

睡眠時無呼吸症候群の症状で有名なものはいびき眠気です。
 
AHIが5を超えている睡眠時無呼吸症候群でいびきを認める頻度は93%日中の眠気を認める頻度は83%とされています。
 
いびきが原因で別室に家族が寝ることもあり、この場合家族もいびきに困ることになります。
 
当事者の場合はやはり日中の眠気が最も困ります。
 
無呼吸や低呼吸のせいで眠りがずっと浅い状態が続いているため、耐え難い眠気が出現します。
 
居眠り運転の原因にもなります。
 
眠気のほかは集中力の低下、記憶力の低下といった、熟眠できないことによるパフォーマンスの低下が主な症状と思っていただけばよいかと思います。

生活習慣病のリスクが高まり、死亡率も高くなる。

では自覚症状がなければ大丈夫かというと、そうではありません。
 
睡眠時無呼吸症候群が原因で、高血圧心血管系の疾患(心筋梗塞等)が起こりやすくなると言われています。
 
AHIが30を超える重症例では、死亡率が上昇します。
 
さらに眠気の有無死亡リスクに影響を与えませんでした。
 
このことからもわかるように、症状があってもなくても睡眠時無呼吸症候群を疑われたら適切な検査を受け治療をすべきです。

検査のためには何科を受診すればいいの?

これは病院によって様々です。
 
基本的には呼吸器内科が専門ですが、私が働いたことがある病院では耳鼻科で睡眠時無呼吸症候群の診療を担当していました。
 
病院ごとで異なるため、受診する前に問い合わせていただければよいと思います。

睡眠時無呼吸症候群の診断

診断は簡易検査終夜睡眠ポリグラフ(PSG)という検査を通じて行われます。
 
簡易検査は自宅でも検査可能で、PSGは入院での精密検査となります。
 
これらの検査は両方ともAHIを測定しています。
 
どっちもAHIがでるんだったら簡易検査だけやればいいんじゃないの?
 
と思われる方もいらっしゃると思います。
 
実は簡易検査PSGには大きな違いがあります。
 
それは脳波を取るかどうかになります。
 
簡易検査では脳波は取らず、PSGでは脳波を取ります。
 
PSGでは脳波をとるため確実に寝ている時間がわかりますが、簡易検査では脳波をとっていないため本当に寝ているかどうか分かりません。
 
そのため簡易検査だと誤差が出る場合があり、確実に診断するためには脳波を取るPSGが必要となります。
 
そういう背景から簡易検査はスクリーニングのため用いられます。
 
簡易検査でAHIが5を超えて睡眠時無呼吸症候群を疑われた場合にPSGを行い最終的な診断を行います。
 
ちなみに私が行った検査は自宅でもできる簡易検査となります。

治療法あれこれ

治療法はPSGでのAHIの数字で異なります。
 
基準値は20です。

AHIが20を切っている場合

生活の習慣改善
マウスピースの作成
 
が主な治療となります。
 
生活習慣の改善は前述した肥満あおむけで寝る喫煙飲酒を改善することになります。
 
加えて、歯科でマウスピースを作るという方法もあります。
 
そのため歯科に紹介するときもあります。

AHIが20以上の場合

持続陽圧呼吸(CPAP)の適応となります。
 
CPAPとは空気を送り込んでくるマスクを装着する治療法です。
 
マスクが持続的に空気を送り込んでくるので、気道が閉塞しないですむという治療法です。
 
内服薬などと違い、マスクを装着することに違和感を感じる患者さんが続けられないのが難点です。
 
その場合マスクのつけ心地や送り込んでくる空気の圧力などを調整し、可能な限りつけ心地を良くして続けられるようにします。
 
基本的には毎日使用しますが、1日4時間以上を週5回程度使用できていればよしとします。
 
このCPAP治療により心筋梗塞などの心血管疾患の抑制効果や死亡率の低下が期待できます。
 
そのため重症睡眠時無呼吸症候群の患者さんは可能な限りCPAPを装着することをお勧めしています。
 
なお、CPAPを行うためにはPSGが必要ですが、例外として簡易検査でAHIが40を超えていたら重症睡眠時無呼吸症候群である可能性が極めて高いためPSGを行わなくてもCPAPが保険適応となります。

まとめ

以上睡眠時無呼吸症候群について解説しました。
 
睡眠時無呼吸症候群は思いのほか怖い病気です。
 
日中の眠気が取れなかったり、家族からいびきを指摘されたりした人は一度疑って検査することをお勧めします。
 

<<参考文献>>
睡眠時無呼吸症候群診療ハンドブック / 医学書院
いびき!?眠気!?睡眠時無呼吸症を疑ったら / 羊土社
循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン / 日本循環器学会