医療・病気

破傷風について症状、ワクチン、予防接種も含めて解説。

災害時の破傷風

こんにちは、たくゆきじです。
 
今回の記事では
 
破傷風
 
について解説します。
 
2018年7月に発生した西日本豪雨は大変な災害となっています。
 
テレビで災害の映像を見て言葉が出てこなかったのは東日本大震災以来のことでした。
 
私にできることはないかと考えたところ、災害時には破傷風の危険が高まるため
 
破傷風の解説記事
 
に関して書かせていただくこととしました。
 
ぜひご覧ください。

破傷風の原因

破傷風は破傷風菌による感染症です。
 
破傷風菌は土壌などに広く存在し、主に怪我が原因で体内に入ることで発症します。
 
泥や便で汚染されている場合の傷は高リスクであるとされています。
 
災害中に怪我をした場合、傷は泥などで汚染されている場合があり、通常の傷に比べリスクが高いと考えられます。
 
破傷風は外傷から3日~3週間くらいの潜伏期間を経て発症するとされ、平均7日間とされています。

破傷風の症状

破傷風は破傷風菌が産生する神経毒素によって症状が出現します。
 
破傷風の毒は一言でいうと
 
筋肉をずっと緊張させてしまう神経毒です。
 
破傷風毒素の毒性は極めて強く世界最強の毒素の一つとして知られています。
 
破傷風の症状には以下のものがあります。
 
舌がもつれる
口が開かない(開口障害)

 
といった症状から始まり、
 
飲み込むことができない(嚥下障害)
呼吸しづらい(呼吸障害)
弓なりのけいれん(背筋のけいれん)

 
といった症状が起こります。
 
症状は顔面から出現し、徐々に体幹部に至るということも特徴的です。
 
死亡率は20%前後というおそろしい病気です。

破傷風の予防接種について

破傷風は予防できる病気であるため、予防接種が大変重要です。
 
現在破傷風は定期接種の対象となっています。
 
破傷風の予防接種のスケジュールは、破傷風だけに言及すると
 
幼少期(だいたい2歳まで)に4回
11-12歳時に1回

 
計5回接種します。
 
具体的には国立感染症研究所のホームページをご確認下さい。
 
>>>日本の予防接種スケジュール
 
また破傷風ワクチンは色々なワクチンの中に含まれているため名前を以下に記載します。
 

DPT-IPVワクチン(4種混合ワクチン)
DPTワクチン(3種混合ワクチン)
DTワクチン(2種混合ワクチン)
 
D:ジフテリア
P:百日咳
T:破傷風
IPV:ポリオ

これらの中には破傷風のワクチンが含まれています。
 
接種時期によってどのワクチンを接種しているか異なるため、母子手帳を確認することを強くお勧めします。
 
なお、この予防接種を受けても一生免疫が維持できるかというとそうではありません。
 
10年程度経過すると血中の抗体価が低下し、免疫力が低下すると言われています。
 
そのためワクチンを受けた方でも、10-15年が経過した場合は追加の予防接種を検討する必要があります。

破傷風トキソイドと抗破傷風免疫グロブリンの違い

破傷風について調べると
 
破傷風トキソイド
抗破傷風免疫グロブリン

 
という言葉が出てくるかと思います。
 
見た目や響きが似ており混同しやすいため解説します。

破傷風トキソイド

破傷風トキソイドとは一言で言うと破傷風のワクチンのことです。
 
破傷風トキソイドは主に成人になってから破傷風の予防接種を行う時に使用されます。
 

抗破傷風免疫グロブリン(TIG)

抗破傷風免疫グロブリンとは破傷風の毒素を中和する治療薬です。
 
組織に結合していない血中の毒素を中和することはできますが、すでに組織に結合してしまった毒素を中和することはできないと考えられるため、早期の投与が望ましいとされています。

外傷や怪我で受診した際に教えてほしいこと

医師として破傷風が頭をよぎるのは
 
怪我や外傷で受診された患者さんを診察している時
 
です。
 
状況によっては破傷風トキソイドや抗破傷風免疫グロブリンの投与を検討するためです。
 
その際に患者さんから教えてほしい情報があります。
 

◯今までの予防接種の記録
(可能であれば母子手帳で確認して下さい)
 
◯怪我や外傷の時の状況

です。
 
特に予防接種の記録は重要です。
 
年齢によっては子どもの頃に予防接種を行っていない可能性があるためワクチン接種を行ったかどうかは大変重要です。
 
成人してから破傷風トキソイドを接種した場合も教えて下さい。
 
また上で記載しましたように傷口が土などで汚染されている場合には破傷風のリスクが高まります。
 
怪我をした時の状況なども教えていただけますと大変助かります。

まとめ

以上破傷風についてまとめました。
 
外傷や怪我で病院を受診される方、被災地で救助活動に従事される方の破傷風の理解に少しでも助けになりましたら幸いです。
 
<<参考文献>>
内科学第10版 / 朝倉書店
当直医マニュアル 2018 / 医歯薬出版株式会社
病気が見える vol.6 免疫・膠原病・感染症 第1版 / MEDIC MEDIA
Year Note 2016 / MEDIC MEDIA