こんにちは、たくゆきじ(@takuyukiji)です。
今回の記事では
文献管理ソフト「Mendeley」の使い方
を紹介します。
論文を書く際には文献管理ソフトが必要になります。
文献管理ソフトの中で最もメジャーなのは「Endnote」というソフトですが、残念ながらEndnoteって割と高いんです。
たくゆきじ
と思っていたら、Mendeleyという無料で使える文献管理ソフトがあることを知りました。
なんでも無料の割に使い勝手も良好とのこと。
そのため私は文献管理ソフトとしてMendeleyを使うことにしました。
使用していく過程で基本的な使い方がなんとなくわかってきたので、Mendeleyの導入方法から基本的な使い方を紹介します。
今回の記事ではMendeleyの基本的な使い方として以下の内容を紹介しています。
とお悩みの方はぜひご覧ください。
導入方法をとばして使い方を知りたい方は「Mendeleyの使い方」からチェックしてみてくださいね。
Mendeleyは無料で使える文献管理ソフト
Mendeleyとは無料で使える文献管理ソフトです。
文献管理ソフトとはダウンロードした論文を管理したり、引用文献リスト(Reference)を自動で作るアプリケーションです。
ちなみに引用文献リストとは論文の文末にあるこういうものです。
手作業でこのリストを作るのはとても大変ですが、Mendeleyではこのリストを自動で作ってくれます。
Mendeleyにはプランが複数あります。
プラン | 会費 | 容量 |
---|---|---|
Free plan | 無料 | 2GB |
Plus plan | 4.99ドル/月 | 5GB |
Pro plan | 9.99ドル/月 | 10GB |
Max plan | 14.99ドル/月 | 無制限 |
調べた範囲ではライブラリの容量以外にプランごとの機能の違いはないようでした。
無料プランの2GBの容量が多いか少ないかというと十分すぎるくらいだと考えます。
基本的にMendeleyのライブラリには論文以外は入れませんし、論文も容量が大きくても1本あたり500kBくらいです。
そのため2GBのストレージには大体4000本くらいの論文が入りますので、まずは無料プランで十分だと思いますよ。
Mendeleyの導入方法
では早速Mendeleyの導入方法を紹介します。
以下の2STEPで使用できます。
それぞれみていきましょう。
アカウント作成
まずはMendeleyのアカウントを作成する必要があります。
以下のリンクより公式サイトにアクセスしてMendeleyのアカウントを作りましょう。
【公式サイト】https://www.mendeley.com/
アクセスしたら上のメニューから「Create account」をクリックします。
その後必要項目を入力しましょう。
ちなみにここで作成するアカウントは大手出版社のElsevier社のアカウントです。
実はElsevier社はMendeleyの親会社なので、Elsevierのアカウントを持っていればMendeleyのサービスを利用できるみたいですね。
入力項目は以下のとおりです。
メールアドレス
Given name(名前)
Family name(名字)
パスワード
全て入力したらクリックしたら登録したアドレスに確認のメールが来ますので「Confirm Email」をクリックするとアカウント登録完了です。
その後再度Mendeleyのトップページに移動し、今度は「Sign in」をクリックします。
するとこういう画面が出てきます。
このアカウントは我らが親会社「Elsevier社」のアカウントみたいだけど、このアカウントの情報を使ってMendeleyのアカウントも作っていいよね?
という旨の内容が書いてあるので問題なければ「Accept and continue」を選択しましょう。
これでアカウント作成は完了です。
では続いてMendeleyのダウンロードに進みましょう。
ダウンロード
MendeleyにはWeb版、デスクトップPC版の2種類あります。
ここでダウンロードするのはデスクトップPC版です。
デスクトップPCにはWindows、Mac、Linuxの3種類があり、それぞれダウンロードページが異なります。
それぞれお持ちのPCに応じてダウンロードして下さい。
私が普段使っているPCはレッツノートというWindowsのパソコンなので、ここからはWindows版で話を進めていきます。
Windows版のダウンロードページにアクセスしたら中央の「Windows版のMendeleyをダウンロードする」をクリックして下さい。
するとダウンロードが始まりますので、終わったらアプリを起動させます。
「Next」→「I Agree」と進んでいきます。
その後インストール先のフォルダを選択します。
次に「ショートカットを作る?」という画面が出てきますが、デフォルトの設定のまま「Install」をクリックしましょう。
これでインストロール完了です。
その後デスクトップ版のMendeleyを立ち上げるとログイン画面が出てきます。
ログインしたらこのようなまっさらな画面が出てきます。
当然最初はライブラリには何も入っていませんが、これから論文をボンボン入れていくことになるわけですね。
ちなみに初めてデスクトップ版を立ち上げると、同時にこのような画面が出てきます。
Microsoftのワード用のプラグインをダウンロードするかどうかを聞いてきますので、ダウンロードしておきましょう。
Referenceを作成する時に利用しますので。
「INSTALLED」となったらinstallされていますので閉じてOKです。
これでMendeleyを使う準備が整いました。
Mendeleyの使い方
ここからはMendeleyの使い方を紹介していきます。
もちろんより詳しい機能もありますが、今回の記事では基本的な使い方を紹介します。
※今回例として以下の文献を使用しています。
Transcatheter Aortic-Valve Replacement with a Balloon-Expandable Valve in Low-Risk Patients
Partial Oral versus Intravenous Antibiotic Treatment of Endocarditis
ではそれぞれご覧ください。
文献をインポートする
まずはMendeleyのライブラリに論文をインポートしましょう。
Mendeleyにインポートする方法は2つあります。
ツールバーからインポートする
ドラッグ&ドロップでインポートする
ツールバーからインポートする
ツールバーに「Add」というところがありますのでこちらをクリックします。
するとこちらの画面が表示されますので、対象のPDFファイルをダブルクリックします。
するとMendeley内に論文のPDFファイルがインポートされます。
ドラッグ&ドロップでインポートする
もう一つの方法はドラッグ&ドロップでインポートする方法です。
論文のPDFをドラッグしてMendeley内に移動させましょう。
これでライブラリに論文がインポートされました。
どちらの方法でも大丈夫ですので、自分の好みに応じて使い分けましょう。
インポートした文献を読む
MendeleyにはPDFリーダーが内蔵されており、Mendeley内で文献を読むことができます。
読む方法は簡単でライブラリで読みたい文献をダブルクリックするだけです。
すると文献を読むことができます。
このMendeleyのPDFリーダーはけっこう多機能で、マーカーを引いたりすることもできますよ。
ちなみにMendeleyのマーカーの具体的な使用方法ですが、私は引用文献の中でどの箇所を引用したかの目印として利用しています。
投稿前にReferenceがあっているか、引用文献の番号が間違っていないかチェックするのですが、その際にどの箇所を引用したのか最初から読み直すのはなかなか面倒です。
そこで私は引用部分にマーカーを引くことで、どこの箇所を引用したのかひと目で分かるようにしています。
付箋を貼ったりすることもできますので、ぜひPDFリーダーを使いこなしてみて下さい。
フォルダを作って文献を整理する
Mendeley内に文献をインポートしたら、まず「Unsorted(未分類)」というフォルダに全ての文献が入ります。
ただいずれ管理しきれなくなりますので、フォルダを作って管理しましょう。
メニューバーの「Folders」、もしくは画面左の「Create Folders」でフォルダを作成できます。
例えば「NEJM」というフォルダを作ってみます。
ちなみに作ったフォルダで右クリックするとフォルダの中にフォルダを作れるので、フォルダ内で整理することも可能ですよ。
例えば「NEJM」というフォルダ内に「TAVR」というフォルダを作るとこんな感じになります。
フォルダ内に文献を移動させる時はドラッグ&ドロップで移動させることができます。
フォルダを作ってアップロードした文献をその都度整理しておきましょう。
Mendeleyのライブラリを同期する
Mendeleyは基本的にクラウドで管理されています。
そのため他のデバイス(スマホやタブレット)と同期できるのが大きなメリットです。
同期するにはツールバーの「Sync」をクリックします。
これだけで同期が完了しますよ。
ただ文献をたくさんアップロードした後だと同期に少し時間がかかりますので、通信環境が安定した場所で同期するのをおすすめします。
同期した後はもちろん他のデバイスでも論文を読むことができますよ。
ちなみにどこでもクラウドにアクセスしたいのであれば、こちらのモバイルWifiを使うのもおすすめです。
文献を論文に引用する
この機能がおそらくMendeleyで最も重要な機能です。
論文執筆の際には引用した文献リスト(Reference)を作成する必要があります。
論文に引用する文献は40から50くらいあるわけですが、このリストの作成を手作業でやるのはとても大変です。
さらに投稿する雑誌によってReferenceの書き方が異なっており、その規定に準じて作成しなければなりません。
この大変なReferenceの作成作業をMendeleyは自動でやってくれるのです。
ではMendeleyを使ったReferenceの作成過程を紹介します。
今回の文章はReferenceの作成例として出しています。
実際に引用している内容ではありませんのでご理解下さい。
まずWordを立ち上げて論文を書いてみます。
こちらの文章に根拠となる文章をMendeleyのライブラリから引用してみましょう。
まずWordのツールバーの「参考資料」を選択します。
Mendeleyをインストールした際にWord用のプラグインもインストールしていると、参考資料のタブがMendeley仕様になっています。
ここからReferenceを作成していきます。
例えば一行目の文章に文献を引用してみましょう。
まず引用したい部位にカーソルを併せて「Insert Citation」を選択します。
この画面になったら「Go To Mendeley」をクリックしましょう。
するとMendeleyのライブラリに移動できます。
引用文献を選択したら「Cite」を選択しましょう。
すると前回カーソルをあわせた部分に「1」と表示されています。
これで引用されました。
あとは「Insert Bibliography」をクリックすると引用文献が自動でWordに記載されます。
これでReferenceの作成ができました。
引用文献をさらに追記したい時は最初と同様に「Insert Citation」で文献を追加していくと、どんどん追記されていきます。
ちなみにReferenceにはいろいろな記載方法があり、規定は雑誌によって異なります。
今回は「Nature」というStyleでReferenceを作成しましたが、もちろんほかにも様々な書き方があります。
このstyleに関してもMendeleyでは簡単に変更できます。
方法はメニューバーの「Style」を変更するだけ。
変更すると自動でReferenceの表記が切り替わります。
そのため投稿する雑誌を変更しても簡単にReferenceの表記を変更できますよ。
PDFデータを保有していない文献を引用する
論文を書いていく過程で、引用したいけど当該文献のPDFデータを入手できない場合もあるかと思います。
例えば古い文献で図書館では見つけられたけれども、PDFデータでは入手できないときなんかが考えられますね。
その場合のやり方は2つあります。
Mendeley Searchを利用する。
Pubmedの”Cite”からデータをダウンロードする。
Mendeley Searchを利用する
Mendeleyには文献を検索するSearchというツールがあります。
こちらの検索窓で目当ての文献を検索し、発見できたら「Add to library」という項目があります。
これでMendeleyのlibraryに文献がひも付きましたので、引用することができます。
Pubmedの”Cite”からデータをダウンロードする
もう一つはPubmedを利用する方法です。
Pubmedで文献を検索すると、右側に”Cite“というボタンがありますよね。
ここをクリックすると、Citeの画面になりますが、ここで真ん中の「Download.nbib」というものをダウンロードしましょう。
ダウンロードしたファイルを先程のPDFと同じようにMendeley内にドラッグすると引用文献としてReferenceに使用することができます。
Citation styleを追加する
上でcitation styleを切り替える方法を紹介しましたが、投稿する雑誌によってはMendeleyにデフォルトで搭載されていない場合があります。
その場合はcitation styleのテンプレートをMendeleyからダウンロードする必要があります。
そのやり方も簡単ですので紹介します。
まずMendeleyのデスクトップ画面に移行し「View」→「Citation Style」→「More Styles」を選択します。
その後「Get More Styles」を選択し、投稿先のテンプレートがあるか検索します。
検索してあった場合はInstallします。Install後にcitation styleを切り替えることでテンプレートを変更できます。
ただこれでもcitation styleが出てこない雑誌に投稿する場合は、Referenceの設定を自力で行う必要があります。
設定を行う際にはMendeley CSL EditorというEditorで設定する必要があります。
正直言ってめんどくさいですが、ここばかりは覚悟を決めて自力でやりましょう。
投稿予定の雑誌のreferenceのテンプレートがどうやらなさそうだったので、Mendeley CSL Editorで自作していたらこの時間になっていました
— 内科医たくゆきじ@大学院 (@takuyukiji) June 29, 2021
Referenceの設定を自力で行うにはこちらの公式マニュアルがとても参考になるので、雑誌の投稿規定にあわせて調整していきましょう。
一度引用した文献を削除する
論文を書いていく過程で一度引用した文献を削除したいときもあるかと思います。
その場合のやり方も簡単です。
まず引用した本文の右上の数字を削除します。
その後「Refresh」をクリックします。
Mendeleyの使い方を学べる本
本記事で紹介した以外にもMendeleyには様々な機能が搭載されています。
この本にMendeleyの使い方が網羅的に記載されておりますので、より詳しい使い方を調べたい方はこちらの書籍がおすすめです。
Mendeleyの使い方|まとめ
今回の記事ではMendeleyの使い方を紹介しました。
初めて使う文献管理ソフトでしたが、直感的に操作できてとても使いやすかったです。
症例報告のスライドを作る際に調べた文献なんかもMendeleyで管理できますので、今すぐ論文を書かないとしても早めに慣れておくのがおすすめです。
デスクトップ版もアプリも2GBまでは無料で利用できますので、ぜひ一度使ってみてくださいね。
【公式サイト】https://www.mendeley.com/
大学院生の先生にはこちらの記事もおすすめです。