こんにちは、たくゆきじ(@takuyukiji)です。
今回の記事では
を紹介します。
循環器内科の外来をしていると「術前の心機能の評価」のために紹介していただくケースが多いです。
たくゆきじ
そこで今回の記事では
と私が思っている内容を紹介します。
ではご覧ください。
紹介を受けた時に私が立ち上げるテンプレート
まずは、私が術前心機能評価の紹介を受けたときに立ち上げるカルテのテンプレートはこちらです。
【手術】
緊急手術/予定手術
低リスク、中リスク、高リスク
術式名:
【active cardiac condition】
あり/なし
【運動耐容能】
階段昇降は可能/不可能
【現在の症状】
呼吸苦、胸痛、動悸の症状はある/なし
【既往歴】
【現在の内服薬】
【所見】
Vital
胸部聴診
下肢の浮腫
【検査結果】
このようなテンプレートを立ち上げ、項目を埋めていきます。
【手術】
まず緊急手術か予定手術かでコメントが変わります。
緊急手術の場合は心機能が悪くてもやらなければ患者さんの生命が脅かされるものなので、手術を行う前提でコメントします。
コメントの内容としては心機能に応じた周術期の循環管理のコメントがメインになります。
心機能が落ちていたりした場合にはそれを踏まえたコメントをすることになります。
なお予定手術の場合は術式によってリスクが低リスク、中リスク、高リスクに分類されます。
余裕があれば各術式のリスクをガイドラインで確認していただくのがよいですが、リスクは循環器内科側も把握するので予定術式を書いていただければそれで大丈夫です。
【active cardiac condition】
と疑問に思われる先生もいらっしゃると思いますので解説します。
これは
のことです。
具体的には
不安定な冠動脈疾患
非代償性心不全
重篤な不整脈
高度の弁膜疾患
がある場合にはリスクが高いと評価します。
これらがある場合は手術が待機可能ならば事前に心血管系のリスク評価を行い、場合によっては循環器疾患の治療を先行します。
悪性腫瘍などで時間的猶予がない場合には、どちらの治療を先行するかは患者さんごとの判断となります。
【運動耐容能】
日常生活を症状なくどの程度行えるかという評価も必要です。
一般的に症状なく4METs以上の運動を行えることが一つの目安となります。
4METsの運動とは階段を1階から3階まで歩いて上がるくらいの運動なので私は患者さんには
と確認しています。
【既往歴】
これも重要です。
原疾患によってもだいぶ変わってくるからです。
既往歴に関しては可能な限り書いていただけますと助かります。
【内服薬】
内服薬の中で特に相談されるのは抗血小板薬、抗凝固薬です。
これらの薬剤の休薬に関する判断は患者さんの背景や内服している原疾患によって異なるので、一律に休薬可能かどうかについてはここでは記載できません。
ただ、紹介する際に書いてあると嬉しいのは、抗血小板薬や抗凝固薬をなぜ飲んでいるかの原疾患の記載です。
抗血小板薬を脳梗塞に対して内服しているということはよくあります。
その場合もたまに循環器内科に休薬に関して相談されるときがありますが、その場合当科では休薬に関するコメントが難しいので、自分で処方していない場合はかかりつけ医に診療情報提供書を依頼してからご紹介いただけると大変ありがたいです。
また他院でPCIされている場合には、冠動脈のどこにステントが留置されているかも休薬の判断のためには必要なので、過去に治療をした病院からの診療情報提供もあると助かります。
【検査】
紹介する前に心エコーをするかどうかは施設によってまちまちなので、ここでは触れません。
実際の紹介状のテンプレート
以上を踏まえこんな紹介状だと嬉しいなぁというテンプレートは以下です。
#1.〇〇〇
#2.(以下既往歴を記載)
【内服薬】
・・・
平素より大変お世話になっております。
△△様は#1に対して手術予定の患者様です。
術式は●●で予定時間は■■時間です。
階段昇降は症状なく可能です。/階段昇降時に呼吸苦が出現するようです。
内服薬に関しては上記記載をご参照ください。
なお、かかりつけ医に診療情報提供書を依頼いたしましたので併せてご確認下さい。
今回は周術期の注意点および現在の心機能評価をお願いしたく紹介いたしました。
(抗血小板薬、抗凝固薬を内服している場合は)
抗血小板薬/抗凝固薬の休薬に関してもご相談させていただけましたら幸いです。
お忙しい中大変恐縮ではございますがよろしくお願いいたします。
若干やりづらいくなる紹介状の文面
若干やりづらいと思う紹介状の文面は以下です。
テンプレートと大差ないのですが、こういう文面だとちょっとプレッシャーを感じます。
手術の可否についてご教示ください。
これは返答に窮することが多いです。
本音をいうと、手術が可能か不可能かは循環器内科が100%判断できるものではないと思います。
現在の循環動態の評価、リスクの大小、周術期の循環管理の評価はできますが、手術の可否はなかなか断言できません。
周術期の注意点についてご教示ください
という文面のほうがいいんじゃないかと思います。
心エコーも含め心機能評価をお願いします。
具体的な検査名を書かれるとせざるを得ない状態になってしまいます。
と感じるからです。
低リスクの手術の場合は心精査までは行わず手術に臨んでいただくことがあります。
そのため可能な限り心エコーに限らず具体的な検査名を書かないで紹介してもらえるとありがたいです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
という内容を本音も交えて可能な限り具体的に書きました。
もちろん私が全てではありませんがご参考にしていただけましたら幸いです。
<<参考文献>>
非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン(2014年改訂版)
カルテのテンプレートに関する記事はこちらでまとめています。
循環器内科に関する記事はこちらです。