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【テンプレート】術前心機能評価を行いたい患者を循環器内科に紹介する時に必要な情報と紹介状

循環器内科 心機能評価

こんにちは、たくゆきじです。
 
今回の記事では
 
「手術前に心機能評価を行いたい患者さん」を紹介するときに必要な情報と紹介状のテンプレート
 
をこの記事では紹介します。
 
私は循環器内科医なので、紹介される側の立場です。
 
循環器内科の外来をしていると色々な患者さんを紹介していただくわけですが、とりわけ多いのが「術前の心機能の評価」のための紹介です。
 
体感的には紹介の3割くらい術前心機能評価の紹介という印象です。
 
今回は普段「こう紹介してくれると助かるなぁ」と自分が思っている内容を公開します。
 
ではどうぞ!
 
ことの発端の記事はこちら>>> 【テンプレート】各診療科に紹介する際の紹介状のテンプレートを作ることにした。

前提として

私が何を参考に心機能評価に関してコメントするかというと、日本循環器学会から出ている
 
非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン(2014年改訂版)
 
を参考にお返事しています。
 
ちなみに、日本循環器学会のガイドラインはホームページに行けば会員でなくても見ることができるので直接見ていただくと参考になるかもしれません。

紹介を受けた時のテンプレート

まずは、私が術前心機能評価の紹介を受けたときに立ち上げるカルテのテンプレートはこちらです。

△△科〇〇先生より術前心機能評価のためご紹介
 
【手術】
緊急手術/予定手術
低リスク、中リスク、高リスク
術式名:
 
【active cardiac condition】
あり/なし
 
【運動耐容能】
階段昇降は可能/不可能
 
【現在の症状】
呼吸苦、胸痛、動悸の症状はある/なし
 
【既往歴】
 
【現在の内服薬】
 
【所見】
Vital
胸部聴診
下肢の浮腫
 
【検査結果】
 

このようなテンプレートを立ち上げ、項目を埋めていきます。
それぞれについて解説していきます。

【手術】

まず緊急手術予定手術かでコメントが変わります。
 
緊急手術の場合は心機能が悪くてもやらなければ患者さんの生命が脅かされるものなので、手術を行う前提でコメントします。
 
コメントの内容としては心機能に応じた周術期の循環管理のコメントが主になります。
 
心機能が落ちていたりした場合にはそれを踏まえたコメントをすることになります。
 
 
予定手術の場合は術式によってリスクが低リスク、中リスク、高リスクに分類されます。
 
余裕があれば各術式のリスクをガイドラインで確認していただくのがよいと思いますが、リスクは循環器内科側も把握するので、予定術式を書いていただければそれで大丈夫です。

【active cardiac condition】

なんのこっちゃと思われる方もいらっしゃると思いますが、これは重症度の高い心臓の状態でないかどうかを確認することとなります。
 
具体的には
 
不安定な冠動脈疾患
非代償性心不全
重篤な不整脈
高度の弁膜疾患
 
がある場合にはリスクが高いと評価します。
 
これらがある場合は手術が待機可能ならば事前に心血管系のリスク評価を行い、場合によっては循環器疾患の治療を先行します。
 
悪性腫瘍などで時間的猶予がない場合には、どちらの治療を先行するかは患者さんごとの判断となります。
 
こちらに関しては紹介状の既往歴の欄に記載していただけると嬉しいです。

【運動耐容能】

日常生活を症状なくどの程度行えるかという評価も必要です。
 
症状なく4METs以上の運動を行えると運動耐容能が保たれているという評価となります。
 
具体的な運動で目安となるのが階段昇降です。
 
4METsの運動とは階段を1階から3階まで歩いて上がるくらいの運動なので私は患者さんには
 
「症状なく階段をのぼることは可能ですか?」
 
と聞くようにしています。

【既往歴】

これも重要です。
 
原疾患によってもだいぶ変わってくるからです。
 
既往歴に関しては可能な限り書いていただけますと助かります。

【内服薬】

内服薬の中で特に相談されるのは抗血小板薬、抗凝固薬です。
 
これらの薬剤の休薬に関する判断は患者さんの背景や内服している原疾患によって異なるので、一律に休薬可能かどうかについてはここでは記載できません。
 
ただ、紹介する際に書いてあると嬉しいのは、抗血小板薬や抗凝固薬をなぜ飲んでいるかの原疾患の記載です。
 
抗血小板薬を脳梗塞に対して内服しているということはよくあります。
 
その場合も循環器内科に休薬に関して相談されるときがあります。
 
それだと休薬に関するコメントが難しいので、自分で処方していない場合はかかりつけ医に診療情報提供書を依頼してからご紹介いただけると大変ありがたいです。
 
また、他院でPCIされている場合には、冠動脈のどこにステントが留置されているかも休薬の判断のためには重要なので、過去に治療をした病院からの診療情報提供もあると助かります。

【検査】

紹介する前に心エコーをするかどうかなどは施設によってまちまちだと思いますので、ここでは触れません。

実際の紹介状のテンプレート

以上を踏まえこんな紹介状だと嬉しいなぁというテンプレートは以下です。
 

循環器内科 担当先生 侍史
 
#1.〇〇〇
#2.(以下既往歴を記載)
 
【内服薬】
・・・
 
平素より大変お世話になっております。
 
△△様は#1に対して手術予定の患者様です。
 
術式は●●で予定時間は■■時間です。
 
階段昇降は症状なく可能です。/階段昇降時に呼吸苦が出現するようです。
 
内服薬に関しては上記記載をご参照ください。
 
なお、かかりつけ医に診療情報提供書を依頼いたしましたので併せてご確認下さい。
 
今回は周術期の注意点および現在の心機能評価をお願いしたく紹介いたしました。
 
(抗血小板薬、抗凝固薬を内服している場合は)
抗血小板薬/抗凝固薬の休薬に関してもご相談させていただけましたら幸いです。
 
お忙しい中大変恐縮ではございますがよろしくお願いいたします。

こんな感じの紹介状ですと比較的ストレスなくお返事できると思います。
 

若干やりづらいくなる紹介状の文面

若干やりづらいと思う紹介状の文面は以下です。
 
テンプレートと大差ないのですが、こういう文面だとなんとなくプレッシャーを感じます。

手術の可否についてご教示ください。

これは返答に窮することが多いです。
 
本音をいうと、手術が可能か不可能かは循環器内科が100%判断できるものではないと思います。
 
現在の循環動態の評価、リスクの大小、周術期の循環管理に関してのコメントはできますが、手術自体をできるかできないかに関してまではなかなか断言できません。
 
周術期の注意点についてご教示ください
 
という紹介状であるほうがいいんじゃないかと思います。

心エコーも含め心機能評価をお願いします。

具体的な検査名を書かれるとせざるを得ない状態になってしまいます。
 
紹介状に書いてあるのにその検査をしないで何かあったら責任を取らされそう
 
と感じるからです。
 
低リスクの手術の場合は心精査までは行わず手術に臨んでいただくことがあります。
 
なので、可能な限り心エコーに限らず具体的な検査名を書かないで紹介してもらえるとこちらとしてはありがたいです。

まとめ

いかがだったでしょうか。
 
こういう紹介状だと嬉しいなぁという内容を本音も交えて可能な限り具体的に書きました。
 
私が全てではありませんが
 
循環器内科の中にはこうやって診察している人もいるんだ
 
ということだけでも知っていただけたら嬉しいです。
 
参考文献>>日本循環器学会. 非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン(2014年改訂版)