こんにちは、たくゆきじです。
突然ですが、みなさんの志望科はなんでしょうか?
「実家が開業しているので呼吸器内科にしました。」
「自分が骨折した時に手術で治してもらったから整形外科です。」
「心臓の手術に憧れているので、心臓血管外科を希望しています。」
色々な理由があると思います。
確固たる理由がある場合はその科で頑張っていただければそれで良いと思います。
しかし、私はそうではありませんでした。
「自分が何科に興味があるかわからない。」
「自分がどの科に向いているのかわからない。」
学生や研修医の頃はこんなことばかり思っていました。
病院の実習や研修医になってから一番嫌だった質問は
でしたから。
そんな私も現在は循環器内科で働いています。後悔は全くありません。
今回の記事では私が循環器内科を専門に選んだ理由について書きました。
かつての私と同じように将来の進路や志望科をどうすればいいか悩んでいる医学生や研修医はぜひご覧ください。
私は現在の新専門医制度が始まる前の世代ですので、今とは異なる状況でした。
そのことはご承知下さい。
医学部進学の理由
高校生の頃の私を振り返ってみると
という強い気持ちは正直ありませんでした。
ではなぜ医学部を志したかというと親から勧められたからです。
「医者は間違いなく良い職業だから医学部進学がいいんじゃないか?」
とことあるごとに親がいうので、
といつの間にか思うようになり、医学部志望になりました。
今振り返ってみるとすごく単純ですね。
そして入試に運良く合格し、医学部に入学することになりました。
入学後にいろいろな人と話しましたが、
「絶対に医者になりたいんだ!」
という強い意志を持っていた人は少なかったことが不思議と印象に残っています。
いわゆる「類は友を呼ぶ」というやつなのかもしれませんが
と思いました。
病院で実習中に志望科を聞かれる。
座学の間はテストを乗り切るためだけに勉強しなんとか進級するような有様でした。
座学が終了し病院での実習が始まると最初は
と身構えていましたが、慣れてくると
くらいに思っていたすごく不真面目な医学生でした。
病院での実習が始まると座学だったときに比べて上級医と話す頻度が増えていろいろなことを聞かれます。
実習中に上級医と話したときにほぼ必ず受ける質問として
というものがあります。
実習の学生や研修医に話をふるにはこの質問が一番楽なので私もついついしてしまうのですが、学生だったころは一番キライな質問でした。
と思いつつ「内科系ですかね~」とあいまいにかわしていました。
ちなみに現在こそ循環器内科の私ですが、学生での実習の頃はカテーテルの時に術野に入るのが嫌で嫌で仕方ありませんでした。
カテーテル検査中に今何をしているのか意味不明すぎて退屈でしょうがなかったからです。
何やってるかわからず術野で心カテを見るのは、ルールがわからず囲碁を見続けるのと同じくらい苦痛です。
しかしカテのルールは実際にカテをしないと理解できません
よってカテの楽しさを学生や研修医に伝えるのは無理だと思うので、最近はカテ室の外で病態生理をダラダラと教えるようにしています。
— 内科医たくゆきじ (@takuyukiji) 2018年7月25日
研修医になっても志望科が決まらない
そしてあっというまに病院実習が終了し、国家試験の勉強に本腰を入れるようになりました。
この頃には周りの友人たちもポツポツと志望科が決まるようになります。
私は国家試験の勉強を始めるころになってもまったく志望科は決まりませんでした。
そして国家試験が終わり、なんとか合格して研修医になりました。
この頃になっても何も志望科が定まっていませんでしたが、ローテーションする科を選ばなければなりません。
決めたくありませんでしたが、決めなければならないため仕方なく必修の科以外に4つの科を選びました。
①精神科
⇨病院実習で精神科の先生と仲良くなったから
②整形外科
⇨スポーツが好きだから
③循環器内科
⇨国試の勉強が楽しかったから
④神経内科
⇨国試の勉強が楽しかったから
ご覧の通り分野も完全にばらばらで、何科になるのかビジョンが全く見えませんでした。
研修医になってからまず必修の科を回りました。
しかし必修でローテートした科は全くピンとこなかったためこの4つの科の中から選ぶことにしました。
私は最初の1年は必修の科しかローテートしなかったため、研修医2年目になってもまったく志望科が決まっていない現状にさすがに焦り始めていました。

循環器内科での研修は体感時間が短い
研修医2年目もあれよあれよと時間は過ぎて、あっというまに12月になりました。
私が研修医だった頃は現在の専攻医制度がまだなかったためここまで悩むことが出来ました。
研修医2年目の12月の時点で先ほどの4つの科を回りましたがどうしても踏ん切りが付かず12月中旬でもまだ志望科が決まっていませんでした。
どの科を選べばいいのか自分でもわからず考えたくありませんでした。
12月の下旬になると研修先の病院から3年目になったらどうするんだと連絡が来ました。
決めきれない現実から逃げたかったのですがもう逃げられません。
そこで自分の研修医生活を振り返ってみると、ローテーションした科の中で循環器内科が一番体感時間が短いことに気付きました。
仕事中にふと気づくと夜になっていたのです。
病棟の仕事をして心臓カテーテル検査に入り、急変した患者の対応をしているとあっという間に夜の8-9時頃になって仕事が終わっていました。
他の科だと集中して仕事をしていたつもりでも
と感じることが多かったです。
しかし、循環器内科での研修は
という感じでした。
楽しいと体感時間は短く感じられるものです。
それでは体感時間が短いということは、無意識のうちに楽しいと思っているのではないか?と思うようになりました。
考えれば考える程その考えは正しいと思うようになり、私は循環器内科を選ぶことにしました。
しかし循環器内科はめちゃくちゃ忙しいという噂も聞いており、この時点で続けられるかどうか自信がなかったので信頼している循環器内科の上級医に
と正直に伝えました。
するとその上級医からは
と快く受け入れていただき、3年目は循環器内科として働くことにしました。

実際に循環器内科になってから
その後循環器内科として働いてみるとあの感覚は正しかったです。
確かに緊急での呼び出しがあったりして仕事の時間自体は長いのですが、体感ではあっという間に仕事が終わります。
いまでも、
という感じで毎日が過ぎています。
つまり仕事を楽しんでいるということなのでしょう。
「忙しくも充実した毎日」というのはこういうことなのかもしれないな、と感じるようになりました。
そして3年目が終了した時点で、再度上級医と相談し
伝えました。

まとめ
研修医や学生から
と聞かれたときには
と答えるようにしています。
私の決めた経緯を話すと納得されることが多いです。
何科になるか志望科を決められない学生や研修医は自分の体感時間で選ぶことをお勧めします。
個人的には体感時間が短ければおそらくその科は向いていると思います。
一つの考え方として参考にしてみてください。

