学会で講演をすることになりました

研修医に心電図を指導するときの2つのポイントを紹介します。

研修医への心電図

こんにちは、たくゆきじ(@takuyukiji)です。

今回は

心電図が苦手な研修医に私が指導するときのポイント

を紹介しました。

私は循環器内科なので、循環器内科を回った研修医と話をする機会はたくさんあります。

その経験上私は

研修医はほぼ全員が心電図に苦手意識を持っているんだなぁ。

たくゆきじ

ということに気づきました。

研修医

正常と言い切る自信がありません。

研修医

この心電図所見はどう考えればよいでしょうか…?

といった感じです。

今回の記事ではそんな苦手意識を持っている研修医に私が心電図について教える際に意識している2つのポイントについて紹介しました。

その2つのポイントとは以下の2点です。

①心電図だけで心電図異常をきたす疾患の確定診断はつけられないことがある

②心電図異常を波形の異常と調律の異常に分けて考える

ではご覧ください。

研修医に指導するときのポイントは2つ

私が研修医に指導するときは2つのポイントを強調して伝えています。

①心電図だけで心電図異常をきたす疾患の確定診断はつけられないことがある

②心電図異常を波形の異常と調律の異常に分けて考える

それぞれについて解説していきます。

心電図だけで心電図異常をきたす疾患の確定診断はつけられないことがある

研修医の先生に

T波の増高と言われたら何を想像しますか?

たくゆきじ

と聞いてみると

研修医

高カリウム血症を疑います。

研修医

胸痛を訴えていたら心筋梗塞の超急性期かもしれません。

という答えが帰ってきます。正解です。

では、質問を変えます。

T波の増高でこれらの疾患の確定診断をつけることはできるでしょうか?

たくゆきじ

答えはNoです。

高カリウム血症と診断するには採血が必要ですし、心筋梗塞と診断するには心臓カテーテル検査が必要となります。

この場合疑うことはできますが、確定診断をつけることはできません。

少し考えてみれば当然のことなのですが、研修医の先生の中には心電図で確定診断がつけられない疾患なのに、心電図でムリヤリ確定診断をつけようと悩んでいる方がいる気がします。

そのため研修医には

心電図で確定診断をつけられない疾患もたくさんあるよ

たくゆきじ

と伝えています。

このことを伝えると心電図をスクリーニングのためのツールとして使うという発想もできて、少し気持ちを落ち着かせて心電図と向き合えるようです。

心電図異常を波形の異常と調律の異常に分けて考える

私は心電図異常という言葉があまり好きではありません。

というのも正常でない心電図はすべて心電図異常になってしまうので、範囲があまりに広すぎるからです。

私も研修医の頃はそうだったのですが、心電図異常という用語で認識すると頭の中で整理できません。

そのため心電図が苦手な医学生や研修医には

心電図異常を調律の異常と波形の異常に分けて考えよう。

たくゆきじ

と伝えています。

例えば心筋梗塞の心電図の特徴としてST上昇がありますが、これは波形の異常です。

ST上昇型心筋梗塞 ST上昇型急性心筋梗塞の患者の初期対応で循環器内科医が意識していること

心房細動の心電図は調律の異常です。

心房細動の患者さんを診察する際にあると助かる情報をまとめてみました。 心房細動の患者さんを診察する際にあると助かる情報をまとめてみました。

このように疾患ごとに見るポイントとなる所見が調律なのか波形なのかを意識するだけでだいぶ変わってきます。

ちなみに不整脈が専門の上司から教えてもらった考え方として

調律の異常をきたす疾患(すなわち不整脈)は心電図で確定診断が可能で波形の異常をきたす疾患は心電図で確定診断は難しい

という考え方があります。

もちろんBrugada症候群など例外はありますが、言われてみれば確かにそうだなぁという印象です。

一つの考え方として頭に入れておくといいかもしれません。

心電図について勉強したい方はぜひこちらの記事をご覧ください。

おすすめの心電図の本、教科書 循環器内科医がおすすめする心電図の本・教科書・参考書をまとめて紹介!

まとめ

以上私が心電図異常について研修医に指導するときのポイントをまとめました。

心電図に悩む研修医の先生方の助けになれば嬉しいです。

たくゆきじ

循環器内科に関する記事はこちらです。

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