コラム

転院前の世界と転院後の世界

高齢者の転院

こんにちは、たくゆきじです。
 
この記事を読んでいるみなさんは医療者の方が多いと思います。
 
皆さんの中には急性期病院でしか働いたことのない方もいるのではないでしょうか?
 
そして受け持ちの患者さんはいろんな方がいます。
 
治療が終わってすぐに帰れる方
 
なかなかリハビリが進まない方
 
病状的には家に帰れるけれども、家族のサポートが薄く帰れない方
 
などいろんな方がいると思います。
 
そして、すぐに家に帰れない患者さんは、リハビリや社会的なサポートを整えるために転院することが多いです。
 
急性期の病院にいた身としては、転院させた後はやりきった感が出て、その患者さんのことが徐々に意識の中から外れていきます。
 
私はそうでした。
 
転院前の世界にいたときはそのように考えていました。
 
今私は転院後の世界にいます。
 
私は転院前の世界と転院後の世界の両方を経験している訳です。
 
そして転院前と転院後の世界の両方を知って気付いたことを述べていきます。

転院前に家に帰れなかった人は転院後も家に帰れない。

転院していただく前に
 
「この人転院してリハビリをしても、家に帰れるようになるのかな?」
 
と疑問に思ったことがあります。
 
今振り返ってみると、その直感は正しかったです。
 
現実は厳しく、リハビリしてもなかなか帰れません。
 
急性期病院でリハビリを頑張っていたけれども、家に帰れなかったわけなので、どうしても帰るためには時間がかかります。
 
特に私は内科なのでその要素は強いかもしれません。
 
リハビリが進んでようやく退院が見えてきたところで、誤嚥性肺炎になったり心不全が増悪したりして退院できなくなることはザラにあります。
 
どうしても帰れない患者さんも一定数いらっしゃいます。

一人あたりの入院日数は長い

これは1とも関連しますが、どうしてもひとりひとりの患者さんの入院日数は長くなります。
 
私は急性期病院で働いていたときに
 
「なんで転院するまでこんなに時間がかかるんだよ」
 
と思ったことがあります。
 
しかし、来てみたらどうしようもないことに気付きました。
 
受け入れたくても受け入れるベッドが無いのです。
 
ようやく退院したと思ったら外来から直接予定外の入院が入って、また満床になり転院できないということもあります。
 
こういうことなんだな、と実感しました。

当然できたことができない。

もう一つ気付いたこととして、急性期病院で当然のようにできたことが、慢性期病院では当然ではないことも実感しました。
 
例えば、夜間の検査体制です。
 
今いる病院では夜間の採血やX線はすぐにできるわけではありません。
 
検査技師さんをわざわざ家から病院に呼ばなければできないのです。
 
急性期病院ではなんの迷いもなくX線や採血をしていた患者さんも、
 
「わざわざスタッフを病院によばなければならない」
 
である状況だと、正直検査のハードルが上がります。
 
ただの熱発だしまずは対症療法で明日検査しようかな・・・
 
とか思ったりするわけです。
 
これは厳密には転院とは関係ありませんが、検査のハードルが急性期病院に比べて高いということは貴重な経験でした。
 
救急隊からの陽性があっても、すぐに検査が必要な患者さんの場合はお断りせざるを得ないときもあるということを知りました。
 
これも実際に行かなければ肌で感じられない経験でした。

まとめ

以上最終的には転院後の世界というより、急性期病院と慢性期病院の違いについての話になりました。
 
お互いの現実を知らなければその立場の気持ちを理解できません。
 
転院後の世界を知った今は前に比べて優しくなれた気がします。
 
相手の気持ちをわかるようになるためにも、急性期、慢性期の両方で働くのはいい経験になると思いました。