こんにちは、たくゆきじ(@takuyukiji)です。
今回は健康診断における血尿、尿潜血に関して解説した記事になります。
外来では健康診断で尿潜血を指摘された患者さんがたくさんいらっしゃいます。
しかしどういう病気を疑うのか、何科を受診すればすればいいのかなどわかる方はあまりいらっしゃいません。
そこで今回は健康診断で血尿や尿潜血が出た時に必要な知識を記事にしてみました。
たくゆきじ
血尿は2種類ある。
健康診断で尿潜血陽性となった方の中には
と思われる方もたくさんいらっしゃると思います。
ただ実は色が普通でも血尿が隠れている方もいらっしゃるのです。
そのことを理解するためには血尿は2種類に分類されるということを知っておきましょう。
肉眼的血尿と顕微鏡的血尿です。
漢字ばかりでとっつきづらく感じますが、全く難しくないのでご安心下さい。
肉眼的血尿
肉眼的血尿とは文字通り見た目で色が赤い尿のことです。
これはわかりやすいですね。
ちなみに尿1000mlあたり1ml以上の血液が混ざっていると目で見て赤くなります。
血尿といえばこの肉眼的血尿をイメージされている方がほとんどです。
顕微鏡的血尿
これは目で見て普通の色でも実は血液が混ざっている尿のことです。
これはどういう検査で決定するかというと文字通り顕微鏡で見て決定します。
400倍の倍率で見て、1視野あたり5個以上の赤血球を認めた場合に血尿とします。
健康診断の尿検査ではおもにこの顕微鏡的血尿を引っかけています。
肉眼的血尿は引っかからないのかと言われると、もちろん引っかかります。
しかし目で見て尿が赤ければ、おそらく健康診断を待たずに受診してしまいますよね。
尿検査の種類
と思われた方もいらっしゃると思いますので、健康診断で行われる尿検査について説明します。
実は健康診断で行われる尿検査は2種類あります。
尿定性と尿沈渣です。
尿定性とは
尿定性はリトマス紙のような検査をイメージして下さい。
リトマス紙のような紙に尿をつけて、血液が混ざっているかどうか確かめます。
血液が混ざっていたら色が変わり、混入している量によって色の変化の強弱が変わります。
しかし色の変化の強弱は具体的に数字で表現できないため、変化の強さを(2+)などで表現します。
この検査を尿定性検査といい、健康診断では主にこの検査で血尿の患者さんを引っかけています。
尿沈渣
もう一つの検査である尿沈渣とは、一言で言うと尿を顕微鏡で見る検査です。
顕微鏡で見る前に遠心分離という処置を行うのですが、顕微鏡で見るということさえイメージしていただければ大丈夫です。
ちなみにどのくらいの倍率で見るかというと400倍で見ることが一般的です。
顕微鏡で見える範囲内にどのくらいの赤血球があるかを確認することになります。
最近は機械である程度チェックし、引っかかったら技師さんがチェックする施設もあるようですね。
前項で私は顕微鏡的血尿は顕微鏡で見て決めると説明しましたが、これは尿沈渣のことを言っていたわけですね。
尿潜血が指摘されると必ず病気があるの?
実はそうではありません。
運動や外傷の影響で尿潜血が陽性になることがあります。
女性の方ですと月経の影響で尿に血液が混ざってしまうこともあります。
再検査をしたところ陰性になり終診となる場合もあります。
ただもちろん何か病気が隠れている可能性もあるため、尿潜血が指摘された場合は病院で医師の診察を受けましょう。
血尿や尿潜血が指摘されたら何科を受診するの?
血尿や尿潜血が指摘されたら腎臓の病気や尿路の病気を疑わなければなりません。
これに合致する専門科は腎臓内科か泌尿器科のいずれかになります。
と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、健診の結果だけでどっちの科がいいかまでわからないのでどちらを受診しても良いです。
仮にかかりつけ医が専門以外だった場合でも相談しましょう。
病院を受診するときには準備するもの
病院には健診結果は持っていくと思いますが、他に何を準備すればいいかはなかなか記載されていません。
医師目線で確認する重要項目は以下の項目となります。
(特に糖尿病、高血圧、膠原病(自己免疫性疾患)、悪性腫瘍は重要です。)
◯現在の内服薬
(おくすり手帳は必ず持参しましょう。血液をサラサラにする薬は特に重要です。また、市販薬も答えられるようにしましょう。)
◯喫煙歴
尿路の悪性腫瘍のリスクとして喫煙歴は重要です。
1日何本を何歳から吸っていたか答えられるようにして下さい。
なお、禁煙していても過去に吸っていた場合はいつまでどのくらい吸っていたか答えられるようにして下さい。
◯排尿時の症状の有無
排尿時に症状があるかどうかも大事です。
◯肉眼的血尿の有無
健診で引っかかっただけなのか、実際に尿色が赤いかも答えられるようにしておいて下さい。
◯月経歴(女性の方)
月経の影響で尿潜血が陽性になる時もあるので、可能ならば検査日に月経があったかどうかは確認しておいたほうがスムーズです。
忘れそうな場合はスクリーンショットにとって受診の準備のときにお使いください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
<<参考文献>>
血尿診断ガイドライン 2013
ジェネラリストのための内科外来マニュアル / 医学書院
病気がみえる vol.8 腎・泌尿器 第2版 / MEDIC MEDIA
こちらの記事もおすすめです。