こんにちは、たくゆきじ(@takuyukiji)です。
今回の記事では初期研修医におすすめする本を紹介します。
私はたまに下につく研修医から
研修医
と聞かれるときがあります。そんな時は
と答えています。
なぜこのように伝えるかと言うと、まだ専門とする科が決まっていない研修医の場合はせっかく勉強しても後々使わない知識があるからです。
極端なことを言うと「PCIで使うステントの名前」は循環器内科でしか使わないので、勉強の優先度は低いですよね。
このように特定の科でのみ役立つ内容よりもまずはどの科でも使える汎用性の高い内容から優先的に勉強するべきです。
だとするとどんな知識の汎用性が高くどの科でも役立つのでしょうか?
輸液・電解質異常
血液ガス
感染症・抗菌薬
心電図
統計
この5分野の知識はどの科に行っても必ず使うので、優先して身につけておくのがおすすめです。
そこで今回の記事ではこの5分野を中心におすすめする本をそれぞれ紹介します。
初期研修医におすすめする本・教科書・参考書
では早速以下の5分野の中で私がおすすめする本をそれぞれ紹介していきます。
輸液・電解質異常
血液ガス
感染症・抗菌薬
心電図
統計
輸液・電解質異常
輸液・電解質異常に関する本でおすすめの本は2冊あります。
まず紹介するのは内科レジデントの鉄則という本です。
こちらは輸液・電解質異常の専門の本ではないのですが、ポイントについてわかりやすく解説されているので最初の一冊としておすすめしたいと思います。
本書では内科で抑えなければならない31項目について解説されています。
輸液・電解質異常に関しては低ナトリウム血症・高カリウム血症・輸液という章でそれぞれ10ページ程度でコンパクトにまとめられていました。
最初にポイントを掴むためにはとてもよい書籍だと思います。
輸液・電解質異常以外の内容の解説(例えば発熱・喘息発作・急性腎障害(AKI))もわかりやすいので研修医の先生には自信を持っておすすめできる書籍です。
ただ輸液・電解質異常に関しては内科レジデントの鉄則だけではカバーしきれない部分もあります。
基礎からしっかり勉強したい時はより理解を深める!体液電解質異常と輸液という本がおすすめです。
この本は私が研修医の頃に指導医からおすすめされて読んだ書籍です。
内容は酸塩基平衡、電解質異常、輸液について網羅的に解説されています。
基礎的な生理学からしっかりと解説されているのが特徴的です。
輸液や電解質異常にだんだん慣れてきて
と考える先生におすすめの書籍です。
血液ガス
血液ガスは全身状態を把握するために必要な重要な検査ですので、自己流ではなく体系的に読む方法を学ぶ必要があります。
血液ガスのおすすめの本は「竜馬先生の血液ガス白熱講義 150分」です。
今から挙げる4つの中でどれか1つでも自信がない項目があればこの本を読んだほうがいいです。
PAO2とPaO2の違いは何ですか?
A-aDO2ってなんですか?
アニオンギャップはなぜ重要なのですか?
代償ってどう考えればいいですか?
この辺は理解が難しい部分ですが、本書では体系的にわかりやすく解説してくれています。
「血液ガスはこれしかない」と言えるくらいおすすめの書籍です。
感染症・抗菌薬
何科で研修するとしても感染症には必ず対応する必要がありますので、研修医のうちに基礎的な内容は学んでしまいましょう。
初めて感染症の本を買う場合は臓器別に解説されている書籍を買うのがおすすめです。
なぜなら臨床の現場においては
というように臓器別で感染症について考えることが圧倒的に多いからです。
そのためまずは臓器別の感染症に関する本を読んで感染症と抗菌薬に関して理解を深め、その後に周辺領域を勉強することをおすすめします。
そこで最もおすすめする感染症の本は「感染症プラチナマニュアル」です。
この本の特徴は臓器別の感染症の解説が大変わかりやすいことです。
というような日常診療の疑問にも答えてくれますよ。
使用する薬剤に関しても各感染症ごとに
と大変具体的に書いてあるのもありがたいです。
感染症の本を一冊選べと言われたらこの本が最もおすすめです。
心電図
心電図はこの2冊のうちのどちらかを読むと良いでしょう。
レジデントのためのこれだけ心電図
レジデントのためのこれだけ心電図は心電図の初学者のための本です。
医学生にもおすすめできるくらいにわかりやすく心電図について解説されています。
初学者といっても色々なレベルがありますが
というレベルの方でも理解できるくらいわかりやすく書いてありますので、心電図に自信のない方はぜひ読んでみてください。
「心電図のみかた、考え方」
心電図のみかた、考え方は「心電図の勉強の王道の本」という印象です。
ただ「王道」ときくと
と思われるかもしれませんが全くそんなことはありません。
研修医と指導医の対話形式で解説が進んでいきます。
本書では軽妙な語り口でわかりやすく心電図の解説がなされ、着実に心電図の理解が深められるような工夫が凝らされています。
またイオンチャネルや活動電位などのとっつきづらい話題は出て来ないのも特徴的です。
着実に心電図の理解を深めたい方におすすめの書籍です。
なお基礎編、応用編がありますので読む場合は2冊とも買っておきましょう。
統計
と思う先生もいるかもしれませんが、統計の勉強はしておいたほうが良いです。
なぜなら研修医になると学会での症例報告の機会があるからです。
発表の際には論文を読む必要がありますが、統計の知識がないと論文を読むのが苦痛でしょうがないです。
そのためせめて論文を解釈できるだけの統計の知識は身につけておくのがよいでしょう。
統計を勉強する上で研修医におすすめしたい最初の一冊はいまさら誰にも聞けない 医学統計の基礎のキソです。
本書は全3巻のシリーズ物です。まずは第1.2巻を通読してみましょう。
第1.2巻では以下の統計用語について本当にわかりやすく解説されています。
●P値
●95%信頼区間
●平均値と中央値の違い
●標準偏差
●有意差について
●観察研究と介入研究
●相関
●回帰直線・回帰曲線
●カプラン・マイヤー曲線
●感度・特異度
ただ統計と聞くと
と思われる先生もいるかと思いますが、全くそんなことはありません。
統計の勉強をする場合はまず本書を通読することを強く強くおすすめします。
「いまさら誰にも聞けない 医学統計の基礎のキソ」のレビューはこちら
番外編
最後に番外編として上の5分野には入らないもののおすすめする本を2冊紹介します。
1冊目は「型」が身につくカルテの書き方というカルテの書き方を学べる本です。
体系的にカルテの書き方を学ぶ機会は実はそう多くなく、指導医のカルテを真似して書くことが多いと思います。
ただそれではカルテが自己流になってしまい、客観的にみて良いカルテかどうか自信を持てませんよね。
そこで研修医になったらカルテの書き方を学ぶためにまず「型」が身につくカルテの書き方という本を読んでみましょう。
この本ではどの病院でも通用するカルテの書き方が紹介されております。
さらに状況に合わせたテンプレートも紹介されているので、読んだ次の日から真似して書くことができるんですよ。
もう一冊おすすめする本は当直医マニュアルです。
研修医になると救急外来で患者さんの対応をしなければなりません。
ただ多種多様な訴えや疾患に対応するためには頼れる書籍が必要となります。
そこでおすすめしたいのが「当直医マニュアル」です。
当直中はこれでわからないことをその都度調べながら対応していくのがおすすめです。
一冊持っておくと当直中の安心感が違いますので、ぜひどうぞ。
ちなみに当直医マニュアルはM2Plusという医学書アプリで使用することもできます。
初期研修医におすすめする本・教科書・参考書|まとめ
以上私が研修医におすすめする本を紹介しました。
どの本を読めば良いか悩んでいる研修医の先生のお役に立てれば嬉しいです。
【輸液・電解質異常】
【血液ガス】
【感染症】
【心電図】
【統計】
【番外編】
分野別のおすすめの本はこちらの記事でも紹介しています。
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